佐備神社の御由緒
かつてこの地の周辺は石川郡佐備郷と呼ばれ、忌部氏(いんべうじ)の流れを汲む佐味氏の居住地でした。
佐備神社は文徳天皇の天安2年(858年)正月に創建され、延喜式内の神社にして主祭神として忌部氏の祖神とされる天太玉命(あめのふとだまのみこと)をお祀りしております。
明治5年に村社に列し、大正元年に神饌幣帛料供進神社に指定されております。
延喜式内社
延喜式(えんぎしき)は醍醐天皇の延長5年(927年)に左大臣藤原忠平、大納言藤原清貫らによって延期式五十巻が集大成され、初めの十巻が神祇式です。
巻 | 内容 | 説明 |
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巻一 | 四時祭上 | 四時祭は恒例祭のこと |
巻二 | 四時祭下 | |
巻三 | 臨時祭 | 恒例祭以外の臨時に行われる祭 |
巻四 | 伊勢大神宮 | 伊勢神宮について |
巻五 | 斎宮 | |
巻六 | 齋院 | |
巻七 | 踐祚大嘗祭 | |
巻八 | 祝詞 | |
巻九 | 神名上 | 神名帳(延期式神名帳) |
巻十 | 神名下 |
この内、巻九と巻十は神名帳であり、当時の官社に指定されていた神社の一覧のことである。ここに記載されている神社を『延喜式内社』と呼ぶ。佐備神社は第九巻に記載されております。
御神祭
御本社 | 主神 | 天太玉命 | |
松尾大神 | |||
春日大神 | |||
摂社 | 水分神社 | 葛城三十八社神 | |
天 神社 | |||
末社 | 相模国一ノ宮 | 寒川神社 | 寒川比古命、寒川比売命 |
丹後国一ノ宮 | 籠守神社 | (元伊勢)彦火明命、豊受大神、天照大神 | |
撞賢木神社 | 撞賢木厳御魂天疎向津毘売尊(天照大御神荒御魂) | ||
山城国一ノ宮 | 加茂神社 | 賀茂別雷命、賀茂建角身命、玉依媛命 | |
信濃国一ノ宮 | 諏訪神社 | 建御名方神 | |
菅原神社 | 菅原道真 | ||
妙見宮 | 妙見大明神 |
御鎮座・御社殿
御鎮座は天安二年正月(858年)
御社殿は化粧棟に「上棟文化五戌辰十」(1808年)とあり、また大棟木に「?造営建長八年?四月??棟上」(1256年)と記されているが、この棟木は腐敗がひどく?の文字は消滅しており判読が難しい状態でした。しかし、この文字が記されている部分を切残し再び使用して修理することで建立の年代を後世に伝えるような意図があったと思われます。
佐備神社年代表
西暦 | 紀元 | 年号 | 時代 | 天王 | |
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858年 | 1518年 | 天安2年正月 | 平安 | 55代 文徳天皇 | 神社御創建 |
950年 | 1610年 | 天暦 | 平安 | 61代 朱雀天皇 | 神社御修復 |
1164年 | 1824年 | 長寛 | 平安 | 75代 崇徳天皇 | 神社御修復 |
1256年 | 1916年 | 建長8年 | 鎌倉 | 89代 御深草天皇 | 御本社 |
1350年 | 2010年 | 正平 | 南北朝 | 97代 後村上天皇 | 神社御修復 |
1443年 | 2103年 | 文安元年12月23日 | 室町 | 102代 後花園天皇 | 神社御修復 |
1700年 | 2360年 | 元禄 | 江戸 | 113代 東山天皇 | 神社御修復 |
1813年 | 2473年 | 文化10年 | 江戸 | 119代 光格天皇 | 石段 |
1816年 | 2476年 | 文化13年 | 江戸 | 119代 光格天皇 | 灯篭 |
1826年 | 2486年 | 文政9年 | 江戸 | 120代 仁孝天皇 | 狛犬 |
1862年 | 2522年 | 文久2年 | 江戸 | 121代 孝明天皇 | 拝殿 |
1870年 | 2530年 | 明治3年2月25日 | 明治 | 122代 明治天皇 | 神社御修復 |
1980年 | 2640年 | 昭和55年6月 | 昭和 | 124代昭和天皇 | 御社殿屋根銅板葺替 |
1982年 | 2642年 | 昭和57年 | 昭和 | 124代昭和天皇 | 石段改修 |
1998年 | 2658年 | 平成10年10月 | 平成 | 125代上皇 | 鳥居御修復、玉垣 |
1999年 | 2659年 | 平成11年4月 | 平成 | 125代上皇 | 獅子っ子 |